映日堂(旧)

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せめてカーテンは静かに開けてくれ

病室のベッドで目覚める。時計を見るとまだ朝の5時だった。

慣れない場所ではしっかり眠れないよなあと思いつつ、疲れているのでもうひと眠りしたいなと目を瞑る。しかし同室のおばあちゃんたちも起き出したようで窓のカーテンを開け出した。

いや、早起きなことや部屋が明るくなることはいい、しょうがない、だけどせめてカーテンは静かに開けてくれ……ジャッ!!ジャッ!!じゃないんよ。

すっかり目が覚めてしまったので、二度寝はあきらめてテレビを見るなどする。

7時を過ぎた頃、朝食が運ばれてきた。

今回入院して驚いたのは、食事に箸がついていなかったことだ。最初はあれ、おかしいな?と思って「箸くださ〜い」と気軽にお願いしてしまったが、後から入院の手引きをよ〜く読むと、持ち物の日用品として箸やスプーンも書かれていた。準備は入念にしたつもりだったけど、何もかも初めてで足りない部分がどうしても出てくる。

ないものはないので、申し訳ないが今朝もお願いして割り箸をもらった。ヨーグルトはさすがに食べにくかったぜ。

諸々の必要事項を終えて、10時頃に退院。荷物をまとめて病室を後にする。

抜かれた親知らずは昨日からずっと枕元にあって、いらないので看護師さんに声をかける。「え、いらないんですか?」という感じのリアクションをされて、持ち帰るのが一般的なのか……?と少し戸惑うが、血まみれで虫歯の親知らずが家にあっても困るのでやっぱり処分してもらうことにする。

入院という大層なイベントは不安でいっぱいだったけれど、担当の看護師さんがみなさんとても優しくて、そのおかげで乗り切ることができた。

迎えにきてくれた夫の運転で自宅へ。思うように食べられずお腹はぺこぺこだった。帰宅早々、途中に寄ったファミマで買ったおにぎりを1つ食べる。もちろんまだ痛みがあるので、箸でちみちみと少しずつ口に入れた。

その後は、しっかり昼寝して、もう1つおにぎりを食べて、またうとうとして……という感じでとにかく回復に努めた。

そうしてわたしが休んでいる間に、夫は髪を切りに行き買い物をして帰ってきた。寝起きでボーッとしているところに「ハーゲンダッツ買ってきたよ」と声をかけられ、一瞬で覚醒する。

わたし用にはチャイ味を選んできてくれて、よくわかってるじゃんと思う。スパイスが苦手な夫にひと口あげてみると、「……まあ、自分は選ばんわ」と微妙な顔をしていて笑えた。東南アジアとかには旅行できないだろうな。

夜は1日1便しかない日本の秘境に行くテレビ番組を見たりして過ごした。同じ日本でも暮らしのカタチは本当に人それぞれで、ステレオタイプにとらわれがちなわたしはそのことに救われるときもある。